その眼差しの彼方まで

アイドルと音楽と日記

【前編】SixTONESの音楽、佐伯youthKと「こっから」の話

SixTONESの音楽性の形成を考えるシリーズ(仮)第2弾として、6月14日発売のニューシングル「こっから」を手掛けた佐伯youthKさんとSixTONESのこれまでの歩みについてまとめてみたよ。

この記事は前編です。

前回はこちら。読まなくても問題ありません。rspp.hatenablog.jp

 

情報をまとめつつ書いてたら文字数がエグくなったので、適宜飛ばしつつどうぞ。音楽の知識も全くないし、HIPHOPもあまり詳しくないし、ただ4年ちょっとの間SixTONESのことを見続けてきた熱量と、彼らと彼らの音楽が好きだという愛だけで書いています。だが、情熱はある…なんつって★

一部雑誌のテキストやツイートの引用がありますが、出典は明記しているので興味を持った場合には是非原文を読んでください。当記事の引用箇所からの孫引きはやめてね。

また引用箇所以外についても、これまでの軌跡をまとめるために「当時こういうことを言っていた」という記憶やツイートを元に文章を構成しています。投稿現在めちゃくちゃ忙しくてソースを改めて確認できなかったため、私の生活が落ち着き次第出典を補足します*1。発売前に投稿することを第1目標としているため、こういう形をとらせてください。そういったことを踏まえ、事実と異なる部分がありましたらこちらまでご連絡をお願いします。

 

これまでのSixTONES×佐伯youthKのこと

基本敬称略。引用しているツイートは一部です。

前編・後編共にサンプリングの元ネタを推測して書いていますが、あくまで私の印象であることをご留意ください。

  • NEW WORLD (Imitation Rain/2020) - 作詞・作曲(共作)

youtu.be

佐伯さんが最初に手掛けたSixTONES楽曲。デビューシングルのカップリング曲として収録されている。通常盤なので今も買えるよ。

そういえば、この曲の初披露はTrackONE -IMPACT-初日のはずなので、テレフォンテレフォン言ってるの*2と一緒に名前わかんないけど新曲ある!多分これがカップリング!みたいなレポを見たような記憶がある。この自撮りMVも懐かしい。Driveとかでこういうのまたやって欲しいなー。

 

  • ってあなた(1ST/2021) - 作詞・作曲・編曲

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MV監督・企画・脚本 三石直和

プロデューサー 塩見俊貴

プロダクションマネージャー 延命太樹

SixTONESの音楽の屋台骨「高音の京本×低音の松村」の競演で聴かせる“弱い男”を歌ったR&B系バラード

1ST | SixTONES(ストーンズ)ファーストアルバム「1ST」特設サイト - SixTONES 1ST STudio

このサウンドをお二人に受け入れてもらえたことが凄く嬉しいです!! 

佐伯ユウスケ on Twitter

このツイートからして結構挑戦的なデモだったのかもしれない。デビュー以前から京本さんは高音を担当してきていたものの、「歌における自分のポジションがなかった」と語る北斗が低音をガッツリやるようになったのは「Imitation Rain」でサビの下ハモを任せられたことがきっかけである(多分)。それ以来彼は低音担当としてSixTONESの音楽を支えている。私は記憶力の悪い田中担なので曖昧な記憶に基づいた曖昧なことしか言えないが、詳しくは北斗担にきいてみよう。

デビューして1年かけて低音の松村というポジションを確立させてから辿り着いたのがこれ。のはず。

 

  • 僕が僕じゃないみたいだ (2021) - 作詞・作曲・共編曲

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MV監督 大久保拓朗

プロデューサー 塩見俊貴

プロダクションマネージャー 延命太樹

僕が僕じゃないみたいだ(Dramatic Rearrange) (マスカラ/2021) - 編曲

youtu.be

監督 國部哲郎

グラフィックディレクター Kouta Tajima

プロデューサー 塩見俊貴

プロダクションマネージャー 延命太樹

 Key モチヅキヤスノリ
 Bass 櫻井陸来
 Drums 北村望
 Strings 岡部磨知
 Sax 才恵加(saeka)

初の表題作。「ライアー×ライアー」主題歌で、当時劇場で流れてきたとき、SixTONESの曲がかかっていることに普通に感動して泣いちゃった。

佐伯さんは「マスカラ」発売時からスタートし、何かしらのタイミングで行われているPLAYLISTシリーズの僕僕リアレンジ版の編曲も手掛けている。ちなみに楽器担当のみなさんは恐らく共編曲のNaoki Itai氏の関係者だと思われる(編曲はMEG氏も参加)。

 

  • Interlude (CITY/2022) 

SixTONESとして出したCDに収録されている曲のうち、SixTONESの声が入っていないのはこのCITYのInterludeの4曲のみ。

 

  • With The Flow (CITY/2022) - 作詞・作曲・共編曲

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"自由に気の向くままに行こう" アコギ演奏:京本、ラップ詞:田中でお届けする、ドライブにぴったりな爽やかCITY POP

SixTONES | CITY

京本・田中の特技を活かした1曲。

当初はロックをやるつもりだったが他のユニット曲とのバランスを見てシティポップに。そんなところもきょもじゅりである。佐伯さんにしては英語が多くて珍しいタイプの曲。田中樹が手掛けた作詞部分があるのも大きいだろうけど。

 

  • 共鳴 (2022) - 作詞・作曲・共編曲

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MV監督・アートワーク えむめろ

プロデューサー 塩見俊貴

プロダクションマネージャー 延命太樹

振付 GANMI

仲間と共に”今”を生き抜く決意を、疾走感溢れるロック+ジャズ+HIP HOPを融合した力強いサウンドに乗せた、新時代的・絆ソング。

共鳴 | SixTONES(ストーンズ) Official web site

先の見えない世の中ですが、この6人が歌う姿で、一人でも多くの人が勇気付けられるような。そんな6枚目の曲になればいいなという想いを込め、作らせていただきました。

佐伯ユウスケ on Twitter

このあたりからただの提供ではなく、SixTONESが音楽をやることへの想いを曲にぶつけてき始めた印象。

ご本人やメンバーが言っていた訳でもないので100%私の憶測だけど、「フィギュア」へのアンサーぽいところが若干ある(フィギュアの初出は2021年7月、共鳴のリリースは2022年3月)んじゃないかな〜と聴く度に思っている。実際のところはどうだか分からない。タイアップの夜叉姫がどういう話なのかも全然知らないし…。

 

  • わたし (2022) - 作詞・作曲・編曲

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MV監督 内村拓也

プロデューサー 塩見俊貴

プロダクションマネージャー 市倉あおい

振付 GANMI

北斗の声から始まる曲は割と珍しい(ちゃんと数えたわけではない)が、僕僕に続いて北斗タイアップ北斗始まりの佐伯表題曲。

SixTONESマブ制作陣の3組(佐伯さんとGASHIMA氏、TOMOKO IDA氏 & TSUGUMI氏のこと。私が勝手に呼んでいる)のうち日本語詞をメインに手掛けているのは佐伯さんだが、この曲には外来語含め英語が一切登場しない。北斗に日本語を歌って欲しいんだと思う。そうなのか?少なくとも北斗からイメージされるのは日本語詞なんだろう(逆にJ2は英詞をあてられやすい)。英語が無いのは表題の中だと初。カップリングは英詞割合高めなこと考えると、全体で考えてもこれと「ふたり」くらいか…?ちなみに外来語はOKとするなら「マスカラ」も英語が入っていません。

2022年の前半は佐伯カラーがより濃くなった時期といえるかも。私は未だにMV衣装交換の謎が分からなくてこわい。

 

  • オンガク (わたし/2022) - 作詞・作曲

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”音楽”に対する溢れる愛と感謝を歌った、POPな”音楽LOVE”ソング

わたし | SixTONES(ストーンズ) Official web site

佐伯曲は隙さえあればずっとこの6人が歌うことについて話しているのだ(諸説ある)。

このときのリリースプロモの雑誌で、SixTONESに出会ってから佐伯さんの趣味性が全開になったという話がある。詳しくは後述。

 

  • 人人人 (声/2023) - 作詞・作曲・編曲

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監督 國部哲郎

プロデューサー 塩見俊貴

 Keys 佐伯youthK
 Keys 西村奈央*3
 Guitar 有賀教平
 Bass 鈴木渉
 Drums 髭白健

MIX Kiyotaka Shimizu
マスタリング Hiromichi “Tucky” Takiguchi

趣味全開で詞曲編させてもらいました🙏🙏🙏
YouTubeではキーボード&バンドディレクションもしています。是非ともご覧ください!!!

佐伯ユウスケ on Twitter

年始からカマされた思い出深い曲。「こっから」はタイアップなので制作時期が早そうな気はするのだが、「人人人」とどういう関係なのか未だによく分からない。この曲自体、確かゆごほくが主に推して樹はあんまピンと来てなかったみたいな話があったんだけど、内容のことなのか曲調のことなのか。どうなんだろう。

セルフライナーノーツなどでもジャンルについて言及されておらず、音楽知識ゼロのド素人からすると非常に表現しづらいのですが、音楽誌を参考にするとファンクやソウルに分類されるんでしょうか。

サンプリングの元ネタだと思われるのがRHYMESTER「Lights,Camera,Action」という曲。

Lights,Camera,Action

Lights,Camera,Action

  • RHYMESTER
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

そしてマイクで百面相

スターピース産み出すファクトリー

「我らFactory故に100通り」はここから来ていると思う。「ライツカメラアクション」というフレーズも音程や拍の取り方が近いしそうなんじゃないかな〜。ステージに向かう裏から描いてるのも重なる。

HIPHOPでこの「ライツカメラアクション」が出てくる曲はスチャダラパー「ライツカメラアクション」,Creepy Nuts「未来予想図」,梅田サイファー「マジでハイ」(のKBD)とか、他にも探すと山ほど出てくるし、HIPHOPをやることに焦点を置いた曲も多い。「人人人」では北斗が歌っていることもあって映像における芝居がイメージされるし、実際元の元ネタは映像現場でのソレだと思いますが。

HIPHOPに関しては正直全然わかっていませんが、そもそもラッパーは「ライツカメラアクション」が飛び交うような現場にいることって基本は無いはずのに、このリリックがいろんな人に使われていることが面白いですよね。表と裏を行き来する生き様を魅せるのがHIPHOPってことなのか。Creepy Nuts菅田将暉の「サントラ」にも登場していて(とは言ってもRのパートだけど)、こっちは菅田将暉の存在によって俳優業にズラしている。むしろ元ネタに戻ってきているという方が近いか。「人人人」における「ライツカメラアクション」はズラしというより指すものがいくつもある感じで、アイドルが歌うからこその味があるね。

 

にしても、HIPHOPのサンプリングって本当にわかんないから田中樹か佐伯さんかどっちか呼んできて、というか両方呼んできてその話だけして欲しい。更にRいても良い。でも(サンプリングが)無いなら無いで別に構わねぇ…。いや「人人人」と「こっから」については間違いなくあると思っているんですが!

今回分からないなりに書いているのはHIPHOPのこと分かる人にもっと深い話して欲しいからです。にわかが適当なこと書いてたらなんか喋りたくなるかもしれないから…(?)喋りたくなったあなた、何かしら書いてください。よろしくお願いします。

 

きみの心の臓めがけてキックするVerse

届けUniverse ただ、だけどNervousにもなりマース

ここもRHYMESTER「B-BOYイズム」への意識はありそう。

Kick the verse 歌詞蹴っ飛ばす

まるでストレス飛ばす ジェットバス

バースを蹴ること自体はHIPHOPではよく聴くやつなんですが、「ばーす」の韻だけじゃなくて全体でリズムを作ってるのが近いかなーと思った。このライムについてはZeebraの本に書いてあったので詳しくはそっち読んでください。

 

HIPHOP自体が「先人の知恵借りてエンジンかけるぜ」の世界だと思うので、そういうところもただラップリレーやるだけじゃない曲に仕上がってるよね。

アイドルとは職であり、リアルであり、血の通った人の営みである。そういう曲だと思います。

 

  • Chillin’ with you [PLAYLIST -SixTONES YouTube Limited Performance- Day.7] - Keys & バンドアレンジ

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監督 國部哲郎

プロデューサー 塩見俊貴

 Keys 佐伯youthK
 Keys 西村奈央
 Guitar 有賀教平
 Bass 鈴木渉
 Drums 髭白健

MIX Kiyotaka Shimizu
マスタリング Hiromichi “Tucky” Takiguchi

こっちのバンドも人人人ズ。西村さんはオルガンで参加。

 

  • オンガク -声ver.- (声/2023) - 作詞・作曲・共編曲

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「オンガク -声ver. -」の追加部分は、非常にこだわりの歌詞なので是非。。。

佐伯ユウスケ on Twitter

2022年クリスマス放送のニッポン放送「ミュージックソン」で初オンエア。「共鳴」のセルフサンプリングなのは聴いての通り。

さっきも言ったけど、あくまでも「音楽」の話をしていて、振付でもメンバーのことを指さしていて、良い意味で我々が眼中にないのがSixTONESらしい。

 

  • Good Luck! -Sunrise Soul Remix- (ABARERO/2023) - コーラスアレンジ

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人がいっぱいいるGood Luck!

 

  • こっから (2023) - 作詞・作曲・編曲

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MV監督 Nasty Men$ah

振付 SAYA YAMAMARU
 アシスタント*4 NATSUKA, NanA MAEDA, Mori Minami, chaa, Nonoha

 Keys 佐伯youthK
 Keys 西村奈央
 Guitar 有賀教平
 Bass 鈴木渉
 Drums 髭白健
 Trb. 半田信英
 Trp. 具志堅創
 T.Sax. 才恵加(saeka)
 B.Sax. 石井裕

縦横無尽なラップのマイクリレーが映える【HIP HOP/ブレイクビーツ】×【生バンド】によるミクスチャー・エールソング! 

こっから | SixTONES(ストーンズ) Official web site

佐伯エキスとリスペクトを溢れんばかりに詰め込みました!🙏🙏🙏

佐伯ユウスケ on Twitter

初解禁は事前告知なしのドラマエンディングとしてオンエア。SixTONESのオタクを含めた多くの人が「まあ順当にCreepy Nutsあたりがやるんだろ」と思っていたであろうところにダミ声ヘイボーイ。知ってるというか期間によっては親より聴いた声である。Creepy Nuts提供説も一部で流れていたものの、私のタイムラインではこれはもう佐伯さんでは?まあワンチャン提供…?くらいの空気感だった。佐伯さん、ドラマ初回放送前にツイートしてたしね。

雰囲気としては韻シスト*5に近い感じがある。調べたら「ブレイクビーツ」っていう曲を出してた。サンプリングしてる訳ではないと思うけど。

バンドには人人人ズ(と西村さん)にホーンセクションが加わりました。監督も振付も作曲者もバンドメンバーもMVのキャプションにちゃんと書くべきだと思うんですよね。

 

23.06.21追記(バンドとMV監督のこと)

「こっから」の音楽番組での披露が一通り終わったので、「人人人」含めたバンドメンバーについて調べがつく限りでまとめました。

ツイートを見る限り、「人人人ズ」という呼称は「人人人」音源参加の4人を指している模様。西村さんは「人人人」(と「Chillin’ with you」)PLAYLIST版でclavi,prophetを、「こっから」音源でOrganを担当されています。「こっから」音源のTp.はクレジットを見るに吉澤さんで間違いないと思うのですが、MVにおいては具志堅創さんのようです(参考)。

 

「人人人」「こっから」以外の音源で参加曲があるバンドメンバー

髭白健(人人人ズ:ドラム)

  • シアター

西村奈央(鍵盤)

  • Your Best Day
  • Rosy
  • シアター
  • PARTY PEOPLE
  • ラ・ラ・ラ・ラブストーリー

半田信英(トロンボーン

  • 僕が僕じゃないみたいだ
  • Good Times
  • Strawberry Breakfast -CITY ver.-
  • Good Luck!
  • PARTY PEOPLE
  • ラ・ラ・ラ・ラブストーリー

才恵加(saeka)(サックス)

  • Life in color
  • この星のHIKARI
  • 僕じゃないみたいだ
  • Good Times
  • Strawberry Breakfast -CITY ver.-
  • Good Luck!
  • PARTY PEOPLE
  • ラ・ラ・ラ・ラブストーリー

Luis Valle(トランペット)

  • Life in color
  • この星のHIKARI
  • 僕じゃないみたいだ
  • Good Times
  • Strawberry Breakfast -CITY ver.-
  • Good Luck!
  • ラ・ラ・ラ・ラブストーリー

 

MV監督のNasty Men$ah氏はSixTONESでは「With The Flow」と「OPA!」で監督を務めており、表題作では初めて。自身もラップをやるらしく、Creepy Nutsのびしろ」「Bad Orangez」, HIYADAMやJP THE WAVY, LEXなどのHIPHOPアーティストのMVも多く手掛けています。ジャニーズだとKAT-TUNSTING」も。

「こっから」とHIPHOPの文脈についてはこの追記の直後から書いていますが、MVとしてもかなりゴリゴリのHIPHOP布陣です。

(追記終わり)

 

Creepy Nutsたりないふたり」、RHYMESTER「B-BOYイズム」のサンプリングなんじゃないかっていうのは結構見ました。リリックのサンプリングは後述しますが、「B-BOYイズム」はビートのことですね。

B-BOYイズム

B-BOYイズム

  • RHYMESTER
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

そもそも「B-BOYイズム」について説明せねばならない。HIPHOPについてあんまり知らない人でも名前くらいは知っているであろうレジェンド・RHYMESTERの代表曲であり、日本語ラップ界におけるアンセム的な存在です。

この曲のサンプルはイントロ部分がJimmy Castor Bunch「It's Just Begun」、以降がDick Hyman「Give It Up or Turn It Loose」で、この2曲の元ネタ部分と「B-BOYイズム」、「こっから」を刻んで並べて聴いてみた私の検証結果としては、おそらくサンプリングしていると思われます。バリトンサックスがサンプリングしたビートをなぞっているっぽい。そもそもブレイクビーツであり生バンドで演奏し直している上にアレンジも入っていますが。It's Just Begunつまり「こっから」なんだよな。

詳しくはこちらの記事を参照してください。

kaykbay.hatenablog.com

ちなみにこの「It's Just Begun」は映画「Flashdance」のブレイクダンスのシーンに使われ、それがきっかけでブレイクダンスが世界に広まったというエピソードがあるらしいです。生まれてもいないのでらしいという他ないぜ。

「こっから」の振付もSixTONES楽曲などのサンプリングがあるらしいという噂を聞きましたが、音楽以上にダンスはマジでわからなくて未だにGood Luck!も踊れないオタクなので…。

 

23.06.21追記(B-BOYイズムのこと)

発売に合わせて人人人ズの一員であるベーシストの鈴木さんがこんなツイートをされていました。

サンプリングについては未だ明言されていないし、きっとこれからもそうだと思いますが。

(追記終わり)

 

せっかくだからざっとHIPHOPの歴史を書いておきます。私もあんま詳しくないので間違いとかあったらご指摘お願いしますよ!

基本的にこの本を参照して書いているので、興味がある人は素人の説明読むよりはこっち読んだほうがいいです。分厚いけどな!!!このnoteで冒頭部分が読めます。ちょっと前の本ではあるけど。Creepy Nuts「阿婆擦れ」でも歌われている通りHIPHOPはすさまじいスピードで進化しつづけているジャンルではありますが、誕生から2018年までは辿れます。

nhkbook-hiraku.com

HIPHOPは明確な誕生日と出身がある文化・音楽と言われています。1973年8月11日のニューヨークのウエスブロンクス。もうすぐ50周年なんですね。そしてラップが生まれるより前にまずブレイクビーツという技術が生まれた。ブレイク、いわゆる間奏部分に入るとめちゃくちゃ盛り上がることに気付いたクール・ハークというDJが、同じレコードを2枚用意してループさせたのが始まり。そして客を煽るための盛り上げ役として誕生したのがMCでした。

HIPHOP黎明期においては、DJが主役でみんなが踊って、それを盛り上げるためにMCがいて、そこからラップが始まった。HIPHOPは元々パーティーのための音楽だった。踊らせるためのビート、パーティーを盛り上げるためのラップ。ここから1983年にランD.M.C.が登場するまでは、バックトラックをバンドで演奏し直したものが主流だったようです。

 

要は、HIPHOPの根幹であるブレイクビーツを採り入れ、日本語ラップのアンセムであるRHYMESTER「B-BOYイズム」をサンプリングした「こっから」のビートは、日本におけるHIPHOPの根幹を攻めた楽曲といえるんじゃないでしょうか。MVの間奏でもサイファー的にブレイクダンスをやるシーンがありますが、HIPHOPの原風景を意識しているのではないかと思う。

 

これはHIPHOPとタブラの歴史が知れる曲。

youtu.be

3年前にJ-WAVE「SPECIAL MUSIC NAVIGATOR」にきょもじゅりが出演した際には、いとうせいこう氏がコメント出演しました。彼は80年代日本語ラップ黎明期の第一人者のひとりであり、RHYMESTERなど後続のアーティストに多大な影響を与えた人です。ちょっと脱線するけど、日本語は英語に比べると音素が少なく、黎明期にライムを聴かせるためには長めの韻を踏まなきゃいけなかったりしたそう。この本の中でもいとうせいこう宇多丸が今の若い子たちは倒置を繰り返しても理解してくれる!と感動していて、今でこそラップにおける倒置法って普通によくあるし、ゼロ年代生まれの私からしたら違和感なく聴けるので実感がない話なのですが、なるほどねえと思ったり。

ちなみにですが、90年代後半にさんぴんCAMPというHIPHOPアーティストが集まったデカいイベントが日比谷音楽堂で開催され、ジャニーズにおけるラップのパイオニアである櫻井翔さんはこのイベントの影響があることを明言している。たぶんこの時期のRHYMESTERの音源なんかも結構聴いているんじゃなかろうか。m-flo(VERBAL)の影響が一番らしいけども。

そしてRHYMESTERCreepy Nutsにめちゃくちゃ影響をもたらしたアーティストでもあり、彼らがHIPHOPを始めるきっかけになった存在。

R-指定:「俺みたいなやつも、ラップしていいんや」って思わせてくれたのがRHYMESTERだったんです。もちろんイカついラップも好きなんですけど、「自分とは違う世界やな」って思ってたのを、彼らが地続きにしてくれた。それでラップをやり始めたので、今でも尊敬するし憧れの存在であり続けていますね。

松永:僕も中2くらいのときにRHYMESTERと出会い、彼らに憧れてDJを始めました。青春時代のスターが、未だに変わらぬ大きさの背中を見せてくれていますね。

Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)が語る、ラップブームへの本音 | CINRA

彼らの曲にもRHYMESTERのサンプリングはいくつかある。調べてみると面白いですよ。Creepy Nutsのサンプリングはオシャレだし。そんなCreepy Nutsがサンプリングしたのが若林正恭山里亮太によるユニット「たりないふたり」なのは言うまでもない。

松永:これは、若林正恭さん(オードリー)と山里亮太さん(南海キャンディーズ)のユニットから着想を得て作ったものですね。若林さんと山里さんが、己の足りない人間性を笑いという表現に昇華していったのを見て、「じゃあ俺らはこれを音楽でやってみよう」と、そのインスピレーションをそのまま形にしたのがこの曲です。

R-指定:“たりないふたり”は、自分たち自身について歌っている、Creepy Nutsの自己紹介的な楽曲です。確か、サンプルネタに使おうと思ってた楽曲を、紙にバーッとリストアップして、二人で「これ使おう」「これはアカンな」とかディスカッションしながら完成させた気がします。

Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)が語る、ラップブームへの本音 | CINRA

そしてSixTONESのことを語る上で重要な位置にあるRHYMESTERのことが大好きな存在がもう一人いるんですね。そう、佐伯youthKが…。

 

 

後編につづく

rspp.hatenablog.jp

 

 

 

追記(2023.6.8)

佐伯さんのお名前について、「佐伯youthK」のYが全て大文字になっていたので修正しました。ごめんなさい!

*1:なるはやでやりたい気持ちはあるが、雑誌はめちゃくちゃ積み重なっているうえに当分落ち着く見込みはない

*2:「Telephone」のこと

*3:音源には不参加

*4:参考:振付師TikTok

https://www.tiktok.com/@saya_yamamaru/video/7235962210864975105

*5:ギター+ベース+ドラム+MCのスタイルでやっているHIPHOPバンド